コロナ禍において、私たちの仕事を取り巻く環境が大きく変わったことは、前回の働き方フォーラム⑨で触れました。さて、今回は最近よく耳にするwithコロナ時代における「ニューノーマル」についてお話ししてみたいと思います。

まず最初に、「ニューノーマル」とは何かについて触れておきたいと思います。言うまでもなく「ニュー」は新しい、で、「ノーマル」は常態を意味します。続けると「新しい常態」、「新常態」となります。つまり、withコロナの時代では、これまでイレギュラーだった働き方がごく普通の標準な形になっていくということです。

具体的なことを言うと、コロナ禍で推進された「人との接触機会を削減する働き方」がより定着していくだろうという事です。これは、職場での社員間のソーシャルディスタンスのみならず、取引先や顧客との距離感、支払い・決済の電子化など、広い範囲で変革されていくでしょう。その代表的な例が最近急速に普及した「テレワーク」です。ウィルス感染を防ぐという観点から導入された「テレワーク」ですが、今後はウィルス感染とは別の本来の観点から浸透していくものと思われます。利点は言うまでもなく、通勤時間の排除と労働者の働きやすい環境を作るということです。「テレワーク」が普及し出社する社員の人数が減れば、オフィスそのものの見直しも必要になります。フリーアドレス制のデスク配置が増え、オフィスもこれまでのように大きなスペースを必要としなくなるのです。

「人との接触機会を削減する働き方」は顧客サービスにも大きな変化を与えることになります。これまでの「顧客第一主義」から「顧客にもある程度の不便・我慢を許容してもらう」時代へと変貌しつつあります。その一番いい例が、店舗における営業時間の短縮や営業日の削減などです。いつ行っても開いていたお店が営業時間を制限すれば顧客としては生活に不便を感じるでしょう。また、店側にとっては大きなメリットとなる店舗の無人化、セルフ化、電子支払い化は、キメ細かいサービスを要求する顧客や高齢者の顧客には不便で不満となるかも知れません。

「人との接触機会を削減する働き方」は企業間の取引にも変化をもたらしています。Web会議などITを使った商取引が盛んに行われるようになり、決済や重要書類が「ハンコ無し」のオンラインで交わされるようになります。また、遠隔地の取引先ともオンラインでの打合せが恒常化すれば、出張費(交通費・宿泊費)などが削減でき、時間的、経済的にも大きなメリットとなるのです。

これまで述べてきたwithコロナ時代の「ニューノーマル」、全てに関係してくるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みです。菅総理が「デジタル大臣」を新たに設けたのも、国を挙げてのDX化の一端だと思われます。多額の経済的損失が発生すると言われているITシステムの「2025年の崖」を乗り切るためにも、DXへの取り組みは決して無視できないものとなっています。しかし、ここにも一つの問題があります。ただやみくもにDX化を図れば失敗をしてしまいます。DX化を行う前には必ずその準備として、革新のベースづくりが必要です。(日本働き方会議では「革新のベースづくり」のための実践研修コースを用意しています。詳しくは日本働き方会議のHPをご覧ください。)

withコロナ時代の「ニューノーマル」、その根底にあるのは「失敗してもいいから、積極果敢にトライすること」、“トライ&エラー”で迅速に前に進むことが、これからの企業活動で必要なことになるのです。