会社の規模が大きくなればなるほど負担が増える捺印作業。部下を多く持つ管理職の方で捺印作業を多く抱えていらっしゃる方も多いことかと存じます。
管理職の方々の負担が大きいこともさることながら、現場で捺印を待っているメンバの方々にとっても捺印待ちの時間はストレスなのは容易に想像がつきますね。

そして何より承認業務のリードタイムが長いということは、それだけ会社としての意思決定のスピードが遅いということです。

そのような問題を解決するための手段として、多くの企業様で捺印・承認業務を効率化するためにワークフローシステムをすでに導入、もしくは導入を検討されているのではないでしょうか?
でも、本当にワークフローシステムを導入するだけで承認業務は効率化されるのでしょうか?

承認業務の効率化および承認待ちのリードタイム短縮のために本当に必要なことは何なのか。本記事ではその考え方を考察していきます。

シリーズ1回目の今回は、承認業務を電子化するメリットと、一方では全体のリードタイムは縮まらないという現実、そしてその理由について見ていきたいと思います。

電子化しただけでは縮まらないリードタイム

業務を改善したい、業務を効率化したい。

そんなとき、まず思いつくのがシステムの導入や改修かと思います。私たちの日々の業務においてPCを使った業務は実に多く、またその依存度も大きいことから、そのような発想が思い浮かぶことが多いのだと思います。
しかし、せっかく高い費用を払い、多くの人員を投入して、苦労してやっとシステムを導入してもなかなかそれに見合った成果が上がらないということも多いのではないでしょうか?
システム導入がうまくいかない要因は対象とする業務によっても様々であり一概には言えないのですが、今回は承認業務のワークフロー機能にスポットライトを当てて考察をしていきたいと思います。

承認業務のワークフローシステムの導入でよくやってしまいがちなのが、紙での業務をそのまま電子に置き換えることに終始してしまうことです。

承認業務は承認者や権限の洗い出し、差戻したときのデータの扱い、操作の制御など意外と多くの要素が絡むため、現状の業務をそのまま現在の業務を電子に置き換えることで満足してしまい、それで終わりにしてしまうパターンが非常に多いのが実情です。
またさらに、役職者の権限やワークフローそのものを見直したくてもなかなか役職者の承認が得られ難いことが、結局は紙を電子に置き換えるだけで良しとしてしまうことに拍車をかけていると思われます。

では、実際に承認業務を紙から電子に置き換えたとき、どれくらい業務が効率化されるでしょうか?

もちろんゼロということは無いと思います。紙で行っていたときに発生していた紙の紛失や紙の持ち運びの時間はなくなるでしょうし、承認漏れなども改善されるでしょう。
その他にも新人などが誰に承認をもらったらよいのかわからずにたらい回しされることも無くなり、教える側の負担も多少なりとも軽減されるでしょう。

そういった意味では全く無意味ではないのですが、残念なことに、これだけでは皆さんが最も頭を悩ませる申請から承認までのリードタイムの短縮はほとんど起こりません。

それはなぜでしょうか?

答えは明白で、承認者が多忙であるなどの理由から、すぐに承認をもらえないことが多いからです。
単純に後回しにされていただけの場合であれば承認者に催促する(上司に催促するのはそれだけでもストレスになり得ますし、催促したところですぐに動いてもらえないこともありますが)などの対応を取ることも可能でしょうが、外出や出張の多い方ですとそもそも帰社するまで承認業務が行えないこともございます。

最近はクラウドサービスも充実しては来ましたが、取引情報を持っているような承認業務をクラウドサービスで運用し、かつ社外からも承認できるようにしている企業様はごく少数ではないでしょうか?

つまり、いくら一つ一つの承認作業を効率化したところで、承認者の承認を得られなけらば承認業務全体のリードタイムは縮まらないのです。また、承認者は役職者で多忙であることが多く、その行動を制御するのは非常に難しいのが現実ではないでしょうか?
それらのことを考えますと、承認業務のリードタイムを短縮するためには、根本的に必要な承認者は誰なのかを見直し可能であるならば承認者を数を減らす必要があるのです。
承認業務のリードタイムが長い原因は承認者の数が多いということに尽きるのです。

次回シリーズ2回目では、どこの企業様でも起こりがちな承認者が多いということによる弊害を具体的に見ていきたいと思います。

その捺印、本当に必要ですか? ~待てど暮らせど承認待ち~ シリーズ2回目 承認者が必要以上に多いことによる弊害