多くの会社で未だ大きな課題である「ペーパーレス化」。紙資料を用いて行われることが多い会議をペーパーレス化した場合にどんなメリットがあるか、何故ペーパーレス化が進まないのかを解説し、HIT法を用いた会議のペーパーレス化実現に向けたポイントを解説いたします。
ペーパーレス会議の5つのメリット
「ペーパーレス化」が叫ばれて久しいですが、紙帳票の削減がなかなか進められていない企業が多いのではないでしょうか。報告書や見積書などの帳票以外にも、配布資料を用いる会議も実はペーパーレス化の対象となります。ここでは、実際に会議資料を電子化するとどんなメリットがあるのか紹介いたします。
①会議場所の制限がない
ペーパーレス会議とは、インターネット回線を通じてZoom、TeamsなどのWeb会議システムを利用した会議となります。
今までの会議ならば参加者全員が同じ時間に同じ場所に入り、同じ資料を共有する必要がありましたが、インターネット回線を用いたペーパーレス会議ならば場所を問わず会議をすることができます。したがって、ペーパーレス会議の導入で会議場所の制限がなくなることによって、打ち合わせのためにわざわざ出張をする必要がなくなり、経費や移動時間を削減出来るといったメリットも発生します。
②会議の質が向上する
2つ目のメリットとして、会議の質向上が挙げられます。紙の資料配布の場合、資料が各個人の手元にあるので、発表者の発言とは異なるページを読んでいて肝心の話を聞いていないといった状況も発生します。ペーパーレス会議の場合、スクリーンやモニターに発表者が見て欲しいものを見て欲しいタイミングで表示することが出来ます。論点に集中できることで会議の進行もスムーズになり、結果として時間の節約にもなりえます。
③常に最新の資料を共有できる
3つ目のメリットとして、常に最新の資料が共有できる点があります。会議の使用する資料を社内サーバーもしくはクラウドサーバーなどで共有することで、遠隔地の参加者においても、会議直前に編集をかけた情報も共有することができます。資料を印刷した支店・営業所によりカラーだったりモノクロだったりという差もなくなり、常に最新の資料を、ほぼ同一の状態で利用できるので、情報共有がミスなくスムーズに進みます。
④紛失を防止し、バックアップ・複製が容易
③のように共有サーバーに保管することで、資料の紛失や破損を防ぐことが可能です。同様にバックアップ・複製も容易に行えます。
情報漏洩の原因で多いのが、資料の置き忘れや紛失です。重要な取り決めの多い会議資料を紙ではなく電子ファイルで管理すれば、外出時に携帯する必要はありません。さらに、ファイルにパスワードをかけたり資料を共有する範囲を設定することでセキュリティが高まり、情報が漏洩するリスクも大きく軽減することができます。
⑤紙代、印刷代、保管スペース、廃棄コストの削減
こちらは言及するまでもないメリットにはなりますが、ペーパーレス化を叶えることで、会議資料の印刷代だけでなく、保管スペースや資料の管理業務の削減、さらには廃棄コストを削減することが可能です。
ペーパーレス会議化を阻む3つの意見
以上のように、導入メリットの多いペーパーレス会議ですが、なぜ導入が進んでいないのでしょうか。反対派の意見の代表的なものとして、下記3つが挙げられます。これら3つの反対意見は、技術の進歩や、HIT法を用いた可視経営を実現することでクリアすることができます。
反対意見①:電子ファイルは一覧性が悪い?
紙の資料の方が良いという意見の中には、紙の方が見やすいから、という声が多いです。
確かに大きなディスプレイやタブレットがないと見にくい、紙なら複数の資料を机に並べて一度に眺められるが電子ファイルだとそれが出来ないというデメリットはあります。しかし、それは現在の技術ではできないのであって、今後技術の進歩や機能の活用によりクリアされていく可能性が高いです。
電子ファイルでは、一覧性の悪さをカバーする方法としては資料間にリンクを設定したり、縮小表示をしてディスプレイ幅に収める、さらには元々の資料をディスプレイの縦横比に合わせて作成するなどの工夫をすることが可能です。
電子ファイルだからこそできる工夫や、今後の技術の進歩、または使用者が電子ファイルの使用に慣れていくことで、一覧性の悪さは次第に解消されていくと考えて良いでしょう。
PDFファイルで出来ることは、こちらの記事でまとめておりますので、ご興味のある方はご一読ください。
反対意見②:メモが取れない?
電子ファイルだと会議中にメモが取れないから紙じゃなきゃダメだ、というご意見もよく耳にします。WordやExcelなら打ち込めるけれどもPDF形式だと確かにな…とうなづいてしまう方も多いかもしれません。ですが、現在多くのペーパーレス会議システムでは紙資料と同様の書き込みが出来るような機能が整えられており、そういったシステムの利用がない場合においても、PDF編集ソフトを用いればコメントや注釈などを記入することも可能となっております。
反対意見③:システム利用はお金がかかる
ペーパーレス会議システムを導入する場合は、確かにまとまった投資が必要になります。「うちにはペーパーレス会議システムを導入する予算なんてないから…」「PDF編集ソフト購入の稟議が通るかどうかも怪しい…」などご意見があるかと思い、提案せずじまい…という状況にある方も多いかもしれません。しかし、ペーパーレス会議を導入したらどのくらいの削減効果が出るかを明確に示すことが出来れば、より前向きな議論が出来るのではないでしょうか?
当協会が普及活動をしております業務プロセス可視化法「HIT法」では、改善後の削減工数、紙代などの年間費用削減額を改善提案書として定量的に可視化することができます。この改善提案により削減できる工数や費用と、システム導入またはソフトの購入費用を比較・検討した上でどちらがより効率的かを判断し、ペーパーレス会議導入に向けた議論をより前向きに実施していただけます。
ペーパーレス会議実現のポイント
以上のペーパーレス会議導入のメリット、反対意見を踏まえて、実現のポイントは下記の通りです。
- ペーパーレス会議によって、どれだけの削減効果が出るのか可視化しよう!
- 必要な機能を備えたシステムを選定し、削減効果とコストを検討しよう!
HIT法を使った改善活動であるHIT活動を通じて業務を可視化することにより、改善を実施した場合の削減効果が定量的に明らかになります(年間●分削減、年間●円削減など)。システムやソフトの導入の際にはかかる費用を定量的に記入する項目はありますが、それにより浮かせられる工数やランニングコストを明記しておけば、門前払いをされるのではなく、より具体的な検討が可能になります。「ここを、こう改善すれば、効果が出る」というデータをもとに、他にデメリットはないか、コストは見合っているか等、より効率的な会議運営が出来るよう積極的に提案していきましょう。
意識改革し、生産性向上を実現しよう
ペーパーレス会議のみならず、社内のペーパーレス化は社内文化に関わる改善になります。一人で改善を進めていくことは非常に難しいかもしれませんが、紙の廃止は効果が非常に大きい改善です。何故紙を廃止した方が生産性が向上するのか、ペーパーレス会議が実現できればどのような効果があるかを根気強く社員に説明し、腰を据えて取り組んでいきましょう。