社会問題にもなった「過労死」。皆様はご自身の残業時間をしっかり把握出来ていますか?「周りもこれくらい働いているから……」「働き盛りだから……」とついつい残業してしまってはいませんか?実はその油断、危険かもしれません。
自分はまだまだ大丈夫と思わずに、過労の危険性について考えてみましょう。
多すぎる仕事は心身に悪影響
多すぎる仕事は心にも悪い影響を及ぼします。身体面にも、労働時間が長くなればなるほど悪影響が出やすくなってきます。
長時間労働は、45時間以上から身体面に悪影響が出る可能性は徐々に高まっていき、月80時間~100時間を超過した場合には健康被害の危険性は極めて高くなります。
経団連が2017年7月18日に発表した、2017年の労働時間等実態調査によると、月間の時間外労働時間が45時間を超えている人は全体の17%。健康被害の危険性が極めて高い80時間以上の労働者は、1%となっています。パーセントで見ると少なく感じてしまいますが、これは100人のうち1人は過労死の危険性が高い状態という事になります。会社の規模で考えてみると、決して少ない数字ではありません。ワークライフバランスの取り組みによって、全体的な時間外労働時間は減少傾向にありますが、未だ0にはなっていません。
過労による健康被害は、脳や心臓の疾患として表れる事が多いです。具体的な病名としては、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞やくも膜下出血などが挙げられます。
厚生労働省では、過労による健康被害に対する労災補償を行っています。平成28年度の脳・心臓疾患による労災請求件数は「825件」。このうち、支給が決定された事例は「260件」で、「107件」が死亡事例でした。以下は、業種別の労災認定内訳グラフになります。業種ごとにある程度の違いはあるものの、いずれの業種においても、「働きすぎ」が非常に大きい数値を占めている事が分かります。
なぜ過労が健康を害してしまうのか
過労によって健康が害される理由は、十分な休養がとる事が出来なくなってしまう事です。仕事が終わったあと、自分の自由な時間を取る事で心身ともにリフレッシュする事ができるのですが、労働時間が増えれば増えるほど自由な時間は削られて行ってしまいます。
その為、心身に疲労が蓄積していき、結果として様々な悪影響が出てしまうのです。
また、過労により精神的疲労が蓄積される事で「過労自殺」に至ってしまうケースもあります。こちらは、年間の自殺者の推移グラフになります。
青い折れ線グラフは「勤務問題を原因の1つとする自殺の数値」を表しています。自殺総件数は減少傾向にあるものの、勤務問題による自殺はいまだに高い割合を占めています。勤務問題には、「職場の人間関係」や「異動」「転職」なども含まれていますが、平成28年度の時点では「仕事疲れ」が約3割を占めています。過労は身体面と精神面の両方に悪影響を及ぼすのです。
長時間労働を是正して、健康的な働き方を
今回は長時間労働による健康被害についての記事でした。ドキッとした方もいらっしゃるかもしれません。
もし、日頃よりも疲労が溜まっていると感じたり、なかなか寝付けない、朝起きられない、肩がこる等、少しでも普段と違うと感じた場合は、必ず無理をせず病院の受診と会社への相談をされる事をお勧めします。
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