「可視化」とは「見えるようにすること」のことですが、どうして見えるようにするのでしょうか?何のために?

今回は『可視経営』から少し離れて、『可視化』そのものについて少し考えてみましょう。

「見えるようにする」ということは、「もともとは目に見えないもの」を見えるようにしているということです。では、目に見えない「何」を可視化しているのでしょうか?

可視化の種類とその性質

可視化されている対象は、目に見えないけれどそこにある「情報」であると包括的に言えるでしょう。

可視化された情報には、大きく2種類あります。

①文章による文字情報

②文章以外でのビジュアル情報

①につきましては、情報の中でも特に『知識』を共有する際に有効です。誰かの頭の中に入っている知識情報を可視化するにあたり、細かいルールや手順、周辺知識、コツなどのポイントまで盛り込むことができます。

たとえば、マニュアル、取り扱い説明書、料理のレシピなどがこれにあたります。

文章による可視化のメリットは、細かい情報まで説明・伝達できることでしょう。

デメリットとしては、膨大な文章になることも多々あり、読むのに時間がかかる・言葉での表現ではわかりにくい・心理的に読む気がしないといったものがあります。

このような特性から、文字情報は新たな知識や詳細情報、理論や理由を把握・学習することに向いているといえるでしょう。

②につきましては、事実等の情報を端的に表現することが可能となります。文章が詳細な情報を伝達できることと比較して、ひと目で直感的にとらえることができる情報の把握が可能となります。

たとえば、グラフ、記号、道路標識などがこれにあたります。

ビジュアル情報による可視化のメリットは、誰がみてもわかりやすいということでしょう。

デメリットとしては、あまり多くの詳細な情報を盛り込むためには、やはり文字情報での補足が必要となってきます。

こういった特性から、状況・状態・結果・属性などを一目で表すことに向いていると言えるでしょう。

「見える」&「見てわかる」が大事

文字情報にせよビジュアル情報にせよ、どちらの場合でも同様に、「見たらわかるものになっていること」であることが必要です。

読んでも/見てもわからなかった…というものでは、役に立ちません。

つまり、わかりやすいものであること、解釈に誤解を生まないことが重要となります。

この「誤解を生まない」ということはとても大事なことではないでしょうか。

目に見えなかった情報は、可視化されたことで複数の人と共有することができるようになります。ということは、見た人に正しく伝わらない、わかりにくい、または誤解を招いてしまうものについては、うまく可視化の目的を果たしていないとも言えるでしょう。

 

後編では、「見える」「見てわかる」「見えるとわかりやすい」情報として、日常生活の中に取り入れられている可視化情報にはどんなものがあるかに触れてみたいと思います。

後編の記事はこちら

身のまわりの可視化|後編:身近な可視化情報