いよいよ今年4月から施行される、働き方改革関連法案での残業時間の規制。もう対策はお済みでしょうか?これまでに可視経営ゼミでは、残業問題についての様々な記事を掲載してきました。
今回は、改めて残業規制について考えてみましょう。
残業は当たり前なのか?
そもそも、何故労働者は残業する事になっているのでしょうか。以前36協定についてご紹介しましたが、労働者の法定労働時間は「8時間」。つまり、朝8時に出勤して17時に終業する場合、この8時間の労働を17時点で既に終えている事になります。企業は、この時間を超えて勤務するように指示を出す事は出来ません。
しかし、繁忙期など8時間では対応しきれない時や、労働者側が自主的にもっと働きたいという意思を持つケースもあります。その為、企業と労働者の間に「36協定」が結ばれている場合に限り、労働者の残業が認められています。
4月からは「残業の抜け道」が使えなくなる
さて、36協定がある場合には残業が認められますが、無制限という訳ではなく上限は定められています。しかし、「特別条項」つきの場合には1年のうち6ヶ月までは上限なしの残業をさせる事が出来てしまうのが現状です。また、36協定における上限時間は法的な制限ではない為、罰則の規定が存在していませんでした。つまり、ある程度の決まりは現在でも定められているのですが、抜け道が存在しているというのが問題です。
今回、新たに施行される働き方改革関連法案により、残業時間の上限が法律により定められるようになります。
これにより、抜け道を使う事が出来なくなる為、企業は長時間労働の是正に取り組む必要に迫られています。
見かけでなく、本当の意味での生産性向上が必要
長時間労働の問題は、その時間の長さだけではありません。長時間労働が恒常化している企業においては、残業が「当たり前」になってしまっているという事がより深刻な問題です。
現時点でも事例としてよく挙げられるのが、「オフィスの明かりはついていないが、社員は残って仕事をしている」「会社が閉まってしまうので、家に持ち帰って残業している」といったものです。
企業に報告として上がってこない為、数値の上では残業がない状態になりますが、実質的には残業は残っている状態です。また、残業代の申告も出来ない為、労働者にとっては以前よりもマイナスの状況になってしまうという問題もあります。ただ法案の違反が無いようにするだけでは、このような水面下での残業を蔓延らせてしまう可能性があります。
こういった事態を防ぐ為に、労働者に対して時間の規制をかけるだけではなく、生産性を向上させる為のしっかりとした取り組みが必要になります。
時間内に業務を完遂する為には、様々な準備が必要です。次回は、この残業規制の対策についてご紹介します。