前回の記事はこちら
会社の規模が大きくなればなるほど負担が増える捺印作業。部下を多く持つ管理職の方で捺印作業を多く抱えていらっしゃる方も多いことかと存じます。
管理職の方々の負担が大きいこともさることながら、現場で捺印を待っているメンバの方々にとっても捺印待ちの時間はストレスなのは容易に想像がつきますね。

そして何より承認業務のリードタイムが長いということは、それだけ会社としての意思決定のスピードが遅いということです。

承認業務の効率化および承認待ちのリードタイム短縮のために本当に必要なことは何なのか。本記事ではその考え方を考察していきます。

シリーズ1回目では、承認業務を電子化するメリットと、一方では電子化するだけでは全体のリードタイムは縮まらないという現実、そしてそれは承認者の数が多いことが最たる原因であるということを見てきました。

今回、シリーズ2回目では、承認者が多いことで生じる弊害を具体的に見ていきます。

承認者が多いのはあなたの会社だけではございません

読者の皆さんの中にも、ちょっとした社内の稟議を通すにも承認者が多く、稟議が下りるまでのリードタイムが長くてストレスを感じていらっしゃる方もたくさんいるのではないでしょうか?

実際問題として、企業規模が大きくなればなるほど承認者の数が多くなり、稟議が通るまでのリードタイムが長くなりがちです。
今まで弊社でお手伝いさせていただいた企業様でも、一つの承認業務で10人以上の承認を必要としていたという事例はそれほど珍しいことではございません。

しかし、実際にヒアリングをしてみると「4人目以降の承認者でこの書類については差し戻しをした記憶はほとんどない」、「忙しいときはきちんと見ていない」なんていう回答を得ることも往々にしてございます。

それにもかかわらず、承認業務において承認者の数は通常減ることは少なく、一方的に増えていくことの方が多いです。

何かトラブルがあったときにミスを低減させるための対策として承認者を増やしたり、何かのタイミングで一度だけ内容を確認したいということで承認者として追加したことが、それ以降慣例化してそのまま承認者が増えたりすることがあります。
しかし、そういった経緯で増えた承認は、承認としての業務的な意味合いは非常に薄いことが多いです。

そうして増えた承認業務は様々な弊害をもたらします。

承認者が必要以上に多いことによる弊害

実際に承認者が多いことで業務に与える弊害は予想以上に大きいものです。

最大の弊害は前回も触れた承認までのリードタイムが肥大化することです。
リードタイムの肥大化は機会損失の最たる原因になりがちです。企業規模が大きくなればなるほど意思決定までのリードタイムは大きくなりやすく、その結果、顧客への提案スピードも製品の開発スピードも落ち、企業としての競争力を失います。そして、そのスピード感が自社の業務のスピード感になり、個々人の業務への対応スピードも結局そのスピードに合わせたものに落ち着いてしまいます。それはつまり生産性の低下に直結するということを意味します。

承認者の数が必要以上に多いことの弊害はそれだけではございません。単純に個々人が承認するために書類確認の時間が肥大化するということは当然起こります。しかし、そうした直接的な業務時間の肥大は目に見えやすいためまだ効率化の工夫がしやすいのですが、一方で目に見えにくい弊害も存在します。

承認待ちの時間が長いと申請者の業務効率も下がりやすくなるのです。承認が下りるまで次の業務に移れないために業務間ロスが発生することもあれば、承認者への催促業務が発生したり、たとえ別の業務を行っていても、決済が下りるかどうか、いつ決済をもらえるのかに気を取られて、目の前の業務に集中しきれないという弊害ももたらします。これらの弊害は可視化が難しく役職者からは見落とされがちです。

更にはミス低減のために確認者を増やしたにもかかわらず、反対にミスが増えてしまうケースも往々にして存在します。確認者が増えることで心理的に一人一人のチェックが甘くなり、結果としてミスが減らせない、むしろミスが増えてしまうということが起きてしまうのです。

「確実に」、「安全に」と思い承認者を増やしたことで、反対に企業にとってはマイナスの作用が大きく働いてしまっているというのが今の大半の日本の企業で起きているのです。

シリーズ1回目、2回目で承認業務のリードタイムが縮まらない原因とその弊害について見てきました。次回、シリーズ3回目では、実際に承認業務を減らすための考察を行う前に、ぜひ実施すべき事前作業について見ていきます。

その捺印、本当に必要ですか? ~待てど暮らせど承認待ち~ シリーズ3回目 承認業務を減らす前にやるべきこと