「残業をすると生産性が上がる」そう思われている方はいらっしゃいませんか?実は残業したからと言って生産性が上がっているとは限らないのです。労働時間の長さと生産性はどう関係するのか?そもそも生産性とは一体何か?今回は、生産性と、その高め方について考えてみましょう。

生産性とはいったい何か

生産性とは、投入した資源を活用して、どれくらいの生産が行われたのかを示す指標です。簡単な例を挙げるのであれば、「こなした仕事量/勤務時間=生産性」

このような数式が、生産性を表すものになります。
時間や、資金、人材等が投入資源にあたり、これらはインプットと呼ばれます。対して、成果や、書類、データ等、仕事で作成された物が生産物にあたります。これらはアウトプットと呼ばれます。
このインプットとアウトプットの対比において、インプットが少なく、アウトプットが多い状態が、「生産性が高い」という事になります。車に例えると、少ない燃料で長い距離の走行が出来る(燃費が良い)=生産性が高いというイメージになります。
そもそも、残業は時間、人材、資金を所定よりも多く投入しています。インプットが増えてしまっている為、アウトプットが増えていたとしても「生産性が高い」とは断言できないのです。また、残業には生産性をむしろ下げてしまう危険性もあります。

長時間労働が生産性を下げる理由は、睡眠時間の不足

長時間労働が発生した場合、増えた労働時間の分、プライベートの時間が削られる事になります。主に睡眠時間がこの影響を受けやすく、労働時間が長くなればなるほど睡眠時間は減少していきます。
睡眠時間の減少は、身体や精神面にも悪影響を及ぼします。
集中力も低下してしまう為、生産性が下がり、アウトプットを維持する為に長時間労働が恒常化していってしまうのです。
また、睡眠時間の不足は注意力を低下させるため、産業事故の発生につながる危険性も高くなります。
確かに、労働時間が長くなる事でアウトプットの量は増えますが、インプットの量が増えるうえに、様々なリスクが生じてしまうのです。

生産性を上げるには、密度の高い仕事をする事

では、どのようにすれば時間あたりのアウトプットを増やす事が出来るのでしょうか?
生産性を上げるには、仕事の密度を高める事が必要です。
仕事の密度を高めるには、これらの事に注意してください。

業務の中断を減らす

仕事中、電話対応や、誰かに急に話しかけられたりする事で作業が中断される事があります。
この時、元の作業に戻るまでに「どこまで作業を進めていたのか」「何をしていたのか」を改めて認識する必要があり、改めて作業に復帰するまでに時間がかかってしまいます。
やむを得ない中断の場合もありますが、あまりにも業務の中断が多い場合には改善が必要です。役割分担を明確にし、なるべく集中して業務を処理できるような環境を作りましょう。

詰め込みすぎない

ずっと通しで作業をしていたからといって、生産性が上がるとは限りません。人間の集中力には限界があるので、適宜休憩を取ったり、自分のしたい事をする時間を作りましょう。
可視経営協会の研修では、詰め込み防止の為に50分毎に10分の休憩を挟んでいます。
業務中の自由に出来る時間についての考え方は、こちらの記事でご紹介しています。

勤務中の自由な時間は持てている?|余裕率とは何か

集中出来る環境を整える

もちろん、身の回りの環境も大切です。頻繁に使う物がすぐに取り出せる位置にある事、必要なデータがどこにあるのか分かるようにしておく事も大事です。どこに何があるのかが分からない状態では、仕事を中断して資料を探す時間が必要になってしまいます。
これらの中断時間も、積もり積もると大きいもの。社内の環境整理も忘れずに行いましょう。

いかに時間を削減できるかを意識する事

いかがでしたか?今回は、残業と生産性の関係についてお話しました。時間をかければより良い物が出来るという考えは、必ずしも間違いではありません。しかし、企業の競争力としてスピードは必要不可欠。より良い物を、短い時間で作れる状態にする為には、労働者が元気で生き生き働く事が出来る環境も必要なのです。残業で間に合わせるのではなく、仕事の密度を高める事を意識してみましょう。

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