業務の改善と聞いて、まず思い浮かべるのは「業務プロセスや作業手順の効率化」ではないしょうか。もちろん、プロセスからムダを見つけて改善していくことも重要ですが、最も大きな効果を出せる改善が「業務の廃止」なのです。本記事ではなぜ業務を廃止することが効果の高い改善になるのか、やめられる業務をどのように見つけたら良いのかについて解説いたします。
最大の改善は業務をやめること
実は、改善=改良だけとは限りません。プロセスの改善にも十分な削減効果はありますが、不要な業務を廃止することが出来れば、今までその業務にかかっていた時間、印刷代、リードタイムなどが丸ごと削減することが出来るのです。
したがって、業務を改善しようと行動する際には、まず第一に「この業務、やめられないかな?」「この業務は本当に必要な業務なのかな?」など検討してみることから始めてみてください。存外、廃止できる業務は各企業の中に残っているものなのです。では実際に廃止できるムダな業務とはどんなものなのか、次章で説明してまいります。
廃止できるムダな業務とは?
HIT法の考え方では、最終成果物が弱目的であれば業務を廃止します。具体的にどういうことかと申し上げますと、最終成果物=業務で作成するアウトプット(帳票など)が活用されていない、何のために作っているか分からないなどの状況にある業務は廃止してしまって良い、ということです。前任担当者から引き継いでいる習慣的な業務、過去に作成を依頼されたデータを継続して収集・保存している、毎月(毎週)決まった形のデータを作成しているが使われた形跡がない等、思い当たる業務はありませんでしょうか?具体的にいうと、相場価格を毎週調べてExcel管理をする業務をする方がいるが、実際に取引先から見積もりを確認するタイミングで各担当者が相場を調べていたので、作成したExcelデータが使われていなかった、という事例がありました。Excelにまとめる業務に週20分ほどかけていたとすると、この業務を廃止すれば、なんと年間17時間20分もの時間を削減することができるのです。
可視化を進めていると、このような業務はそれなりの数が出てきます。担当者は意味があるものと聞いて行っていても、上司や部長、後工程で活用されていなければ、その業務を廃止することが出来るのです。可視化を通じて自分が持っている業務の目的を再確認していくことが、業務の廃止をして大きな改善効果を得る第一歩となります。
改善を前に進めるための考え方
「とは言っても、上司に指示された業務を廃止したいなんて言いづらい…」というご意見があるかと存じます。廃止出来る業務を提案したら、「今までなんでそんなムダなことをやっていたんだ!」と叱責されるのではないか、ご不安になるお気持ちもわかります。
HIT法を用いた改善活動(以下、HIT活動)を行う際には、改善を前に進めるための活動の合言葉をご用意しております。HIT活動を行う部署・部門の方々にはこの合言葉、考え方を共有いただき、改善提案をどんどん積極的に出していける風土を作っていただくよう指導させていただいております。過去の経緯をいたずらに追及してしまうと、悪いことは隠しておけば良いという空気が生まれたり、対案のない反対は改善の発案者のやる気を削いでしまいます。HIT活動にとどまらず、何か改善活動を実施する場合は、対象部門のメンバー全員を巻き込んだ前向きな議論が出来る雰囲気づくりが成功のカギを握ります。不要・ムダな業務はどんどん廃止をし本来業務に注力する時間を捻出・労働時間を削減が実現できるように、前向きな議論をして改善活動を進めていきましょう。
参考:改善の合言葉
- 1. 素直にやってみる
- やる前に頭だけで判断しない。やってから判断する。
- 2. 過去は問わない
- 誰が決めたか、何故そうなったのか、ではなく、これからどうするか。
- 3. 対案なき反対は賛成
- 評論は誰でもできる。どうしたらできるかを考える。
廃止の第一歩は、業務の正しい可視化から
最大の改善が業務の廃止であること、廃止できる業務を見つけるためにはまず業務を可視化し、弱目的でないかどうかチェックすること、さらには業務の廃止を実施するために改善を前向きに進めるための風土づくりが重要だということはお分かりいただけましたでしょうか。業務の廃止を実現させ、大きな効果を得るためにまず行うことは「業務の可視化」からです。業務を、改善できる状態に可視化することが最も重要となります。
HIT法で業務を可視化いただければ、誰でも・簡単に業務を可視化し、改善するポイントや業務目的を把握することを容易に行っていただけます。小手先ではない、真の改善活動をしてみたい!という方は、ぜひお気軽に当協会までお問い合わせください。