拙速は巧遅に勝る── 実は業務改善でも同じ事が言えます。
例えば、年間で計算した時の削減効果が2分ほどのものであっても、すぐ出来るものであれば優先的に改善提案を出していただくのが原則。
しかし、業務改善活動にかかる負荷も決して軽いものではありません。
それなのに、提案するのが数分程度の改善では、何も変わらないのでは……。
実はすぐ出来る業務改善を重視するのには大きな理由があるのです。
細かいムダが残っていると、大きな改善に取り組みにくい
以前、小さな改善の効果についてご紹介しました。
どんなに小さな改善であっても、積もり積もってくると大きな改善効果をもたらすもの。
見逃さずに改善を行っていく事で、少しずつ業務を良くしていく事が出来るのです。
突然ですが、畑づくりのプロセスはご存じでしょうか？畑を作る際には、作物を植える前に土から石や雑草を除去していく下地づくりが必要です。まず目立つ雑草や石を取り除き、その次に地中に残っている石を掘り返して取り除いていきます。。この下準備が出来てから、今度は肥料を混ぜたり、いよいよ作物を植える作業に取り掛かっていきます。細かな雑草や石取りは、しっかりとした畑を作り作物を育てる為に重要な下準備になります。
業務改善における小さなムダ取りは、畑づくりにおける雑草や石の除去のようなものです。
大きな改善に取り組む前に、見つけたムダを手がつけられるものから順次取り除いていきます。この工程を後回しにしてしまうと、却って準備に時間がかかってしまい、業務改善が停滞するようになってしまいます。
業務改善は大きな1つのプロジェクトです。実施するにあたっては多くの時間や手間をかける必要があります。
また、システム構築や組織編制の変更など大規模な改善を行う場合は多くの方の協力も必要になってきます。この際に細かいムダが残っているまま業務を続けていると、改善活動に時間を割きにくく、大掛かりな改善がなかなか進まなくなってしまいます。
BPR等の大規模な改善を行う為の時間創出として、すぐに出来る改善を積み上げて余裕を創出していく事は必要不可欠なのです。
小さな改善を積み重ねると、モチベーションが上がる
小さい改善ばかりを実施し続けていると、なんだかモチベーションが下がっていってしまうのでは……と思われるかもしれません。しかし、実際にはすぐ出来る改善というのは、日頃行っている身近な業務の中に潜んでいる事が多いものです。例えば、印刷のムダ・管理ファイルの重複・整理されていない棚など、日常的に行っている業務の中で感じるああ、面倒だなという箇所をどんどん改善していく事で、日常業務で感じる不満が少しずつなくなっていきます。つまり、日々の業務の中で改善の効果を実感する事が出来るのです。
いつか改善されるであろう大きな改善を待つよりも、今すぐできる小さな改善を行っていく方がモチベーション向上に繋がります。すぐ出来る、小さな業務改善を次々実施していく事で成功体験を積む事が出来、業務改善に対しても前向きに取り組む事が出来るようになるのです。
「横展開」で数分が数時間の効果に
また、すぐ出来る小さな改善のメリットとして挙げられるのが、横展開が可能なケースが多い事。
小さなムダは見過ごされやすい為、他の社員も同じムダを抱えてしまっていたというケースも多くあります。
意外にも大きなロスになっている事もあるのが小さなムダ。例えば、毎日使用するアプリを手動で起動する作業。5秒程度で大したロスでもないから放置しているという方も多いのでは？1日5秒のムダを5人が毎日無視していたら……年間で計算すると100分のロスになってしまうのです。
5秒だと小さいムダに思えますが、100分となると無視できないムダですよね。
アプリの自動起動設定自体は簡単にすぐに出来る改善。こういったすぐ出来る小さな改善が見つかると複数人の社員の業務を一度に改善する事が出来る為、効果の範囲が広く全社的に見た時に大きな改善になっている事も多いのです。毎日たったの5秒×5人の改善で100分の改善効果が出るのですから、横展開が進むほどに大きな効果になっていきます。
些細なロスと無視せずにしっかり改善していく事が重要です。
ちなみに、アプリの自動起動改善をしたい方はこちらの記事がおすすめ。Windowsのスタートアップ機能を使った改善方法をご紹介しています。
改善活動は一歩ずつ。積み重ねが改善力になる
業務改善と聞くと何百時間、何十時間もの改善効果を出さなくてはいけないと考えてしまいがちですが、そういった大物を狙ってしまうと、かえって改善活動を停滞させてしまう事に繋がります。まずはコツコツと地道に改善を積み重ねていく事を意識してみましょう。
初心にかえって日ごろの業務を見直してみるとたくさんの改善提案が出てくるはず。
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